越木岩神社という名を聞いたとき、まず気になるのが「越木岩(こしきいわ)」という独特な響きの名前。

その由来は、境内にそびえる巨大な自然岩、つまり“御神体”にあります。
この岩は「甑岩(こしきいわ)」とも書かれ、かつては“米を蒸すための甑(こしき)”のような形をしていたことにちなむとも言われています。
形そのものが神秘的で、まるで古代の神々が宿っているかのような存在感を放っています。
この巨大な岩は、高さ約10メートル、周囲約40メートルにもおよび、自然の力によって生まれたものとは思えないほど整った姿。
古来よりこの岩そのものが神とされ、神社という建物ができる以前から、岩に向かって祈りを捧げる「磐座(いわくら)」信仰の対象とされてきました。
いわばここは、人と自然が直接つながる“原初の信仰”の地なのです。
越木岩神社としての記録は平安時代にまでさかのぼり、千年以上もの歴史があります。
『延喜式神名帳』にもその名が見られ、格式のある神社であったことがうかがえます。
長い年月を経て、今なお地元の人々に大切に守られてきたこの神社は、「安産」「子授け」「厄除け」など、人生の節目に寄り添う存在として親しまれています。
また、近隣の住民にとっては、年中行事やだんじり祭といった地域の伝統行事と密接に結びついた神社でもあります。
信仰の対象としてだけではなく、心の拠り所として、人々の生活の中に根付いているのです。
越木岩神社の歴史を知れば知るほど、この神社が単なる観光地ではなく、長い時を経て今に受け継がれてきた「生きた信仰の場」であることがわかります。
そしてその中心には、変わらぬ姿でそびえる“神の岩”が、今日も変わらず静かにたたずんでいるのです。